電車で見かけるあの子


彼女に会えない夏休みが、やっと終わったと思って、夏休み明け1日目にまた会えた時、彼女はなかなか黒くなっていた。海にでも行ったような黒さは、受験に向けて予備校通いの夏を過ごした俺には羨ましく、眩しく見えた。


さらに数週間ぶりに会った彼女はあの黒さは嘘だったようにまた元の白さにだいぶ戻っていた。女子は謎の塊だ。


けど、遅起きに慣れたらしい体は元のようにはならなかったらしく、眠た過ぎて、電車が揺れるたびに倒れそうになっていた。

普段、彼女はあんまり座らない。
でも限界だったのか、その日は彼女は空いている席を探し始めた。周りを見る限り、空いてるのは5席くらい、はしゃいでる女子中学生数人の横か、おじさんのの横か、OL風の女の人の横か…俺の横。

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