わたしは好きな人が二人います
雪がまだまだ残る頃のこと、
幼稚園を卒園する楽しみと
もうひとつの楽しみを胸に
わたしはワクワクしていた
「おかあさんっ、ゆなね!もう少しで小学生!もうおねえさんなんだよ!!」
お母さんの手をぎゅっと握りながら
幼稚園からの帰り道を滑んないように
気を付けながらピョンピョンと弾みながら歩いていた。
「そうだね!ゆなもお姉さんか!可愛いランドセル買おうね♪」
背の高いお母さんを見上げながら、
わたしは首を縦にふった。
「おねえさんになった ゆなはね!けっこんの準備も始めないと!」
カラッと晴れてる空を見上げながら
嬉しそうにわたしは話していた。
「最近の女の子はみんな、ませてるというかなんというか、あ!ゆなは、翔真と隆平どっちと結婚したいの?♪」
あきれた感じから、思い付いてわたしを茶化したように聞いてくる。
「ゆなは、しょまも りゅうちゃんも好きだから二人と結婚するの!!」
自信満々に答えたわたしに
お母さんが
「二人とは結婚できないんだよ、一人だけ!まっ、翔真でも隆平じゃない人と結婚になるかもよ~」
と、バカにしてきたお母さんの言葉が
幼いわたしの頭にしっかりと残っていた。