梅雨の終恋
「的場クン!」
入学して3ヶ月。未だかつて出したこともないぐらい大きな声。
彼はぴたっと止まると、こちらを振り返る。
「あのっ……」
ぐっと。首にかけていたハチマキを握り締める。
的場クンはそのあいだに、こちらに戻ってきていて。
「……どうかしたの、風見サン」
「っあの、」
私も、ケジメをつけよう。
「受け取って、ください……!」
喉の奥から、その言葉を絞り出すだけで、精一杯だった。
メニュー