梅雨の終恋
────5月、五月(さつき)晴れのある朝。
ガラッ
誰も居るはずない、早い時間に登校する私。
この時点で、根暗だなーなんて思う。
なのに……──
「あれっ? おはよう、風見サン」
クラスの男の子が、ひとり、居た。
「……おはよう、ございます」
って。クラスメイトなのに何で敬語なの、私。
とか思いながら俯いて席に座る。
「風見サンってー、どこ中?」
「へっ? あっ。私、三野中出身。……的場クンは?」
「俺ー?俺は徳森中。」
「そっ、そーなんだ……」
……会話終了。
いきなり話しかけられて慌てちゃったけど、一応、ちゃんと返事できて良かった。
ていうか、話すの、初めて……だったな。
チラッと彼を見る。
──的場(マトバ)クンは、坊主頭で野球部、らしい。野球部特有の大きなカバンをいつも持っているから。
陽に焼けた肌は、なんだか格好良かった。
ガラッ
その時、教室のドアが開いて、クラスの男子が入ってきたから慌てて的場くんから視線をそらす。