梅雨の終恋




────5月、五月(さつき)晴れのある朝。






ガラッ



誰も居るはずない、早い時間に登校する私。

この時点で、根暗だなーなんて思う。





なのに……──




「あれっ? おはよう、風見サン」




クラスの男の子が、ひとり、居た。




「……おはよう、ございます」




って。クラスメイトなのに何で敬語なの、私。

とか思いながら俯いて席に座る。





「風見サンってー、どこ中?」


「へっ? あっ。私、三野中出身。……的場クンは?」


「俺ー?俺は徳森中。」


「そっ、そーなんだ……」





……会話終了。

いきなり話しかけられて慌てちゃったけど、一応、ちゃんと返事できて良かった。



ていうか、話すの、初めて……だったな。





チラッと彼を見る。




──的場(マトバ)クンは、坊主頭で野球部、らしい。野球部特有の大きなカバンをいつも持っているから。

陽に焼けた肌は、なんだか格好良かった。






ガラッ




その時、教室のドアが開いて、クラスの男子が入ってきたから慌てて的場くんから視線をそらす。




< 4 / 18 >

この作品をシェア

pagetop