私をひとりじめ
「あんなに、遊んでもらっていたのに、忘れてしまっているなんて。」

母は、彼とおばさんに向けて、少し申し訳なさそうに話した。


その後すぐに話しを切り換え、

「二人とも、座って、座って、立ち話もなんだから。」

母は、友人と慎君という彼に、リビングの中へと招き入れた。


二人は、母の案内で私が座っていたソファのテーブルを挟んで前の席に座る。


私は、正面に座った初対面と言っても良いとも思える彼らとの会話が見つけられず、居心地の悪い空間に耐えられなくなり、

「私、自分の部屋にもう行くね。」

と席を立った。


すると、

「俺もお袋の荷物を車から卸したら、インターネットが出来る店で仕事してるから、終わったら連絡ちょうだい。」

「会場に展示するものとか配置とかの打ち合わに時間がかかると思うから、そうしてちょうだい。」

とおばさんが彼に話していた。


その直後、彼とおばさんはリビングを出て行った。


「亜果利あなたも荷物を運ぶの、手伝って。」

母の言葉に渋々、従う。


私は、玄関へ行き、車から運ばれてきたいくつかあった紙袋をリビングに運ぶのを皆と一緒に手伝った。


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