君のこと。
1


明日は高校の卒業式。





私はこの街を歩きながら
3年間を振り返っていた。




思い出す記憶には
いつもいつも、
あいつがいた。





「……空。」




そっと名前を呟く。


この街に君はいる。

なんのためかは、わからない。
止めることもできなかった。

この街で生きようとしたこと。



どんどん遠ざかる君に
おいていかれちゃうよ。


だけど、今日は伝えなきゃ。

そのために、
こんな危ない場所に
一人で来たんだから。



ここは、歌舞伎町。


君は、ホスト。


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