君のこと。
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明日は高校の卒業式。
私はこの街を歩きながら
3年間を振り返っていた。
思い出す記憶には
いつもいつも、
あいつがいた。
「……空。」
そっと名前を呟く。
この街に君はいる。
なんのためかは、わからない。
止めることもできなかった。
この街で生きようとしたこと。
どんどん遠ざかる君に
おいていかれちゃうよ。
だけど、今日は伝えなきゃ。
そのために、
こんな危ない場所に
一人で来たんだから。
ここは、歌舞伎町。
君は、ホスト。