君のこと。


『club Aqua』と書かれた
看板の隅にうずくまって座る。




はぁ…まだ寒いなあ。






少しうとうとしかけていたら
ひさしぶりに聞いた声。




「お前、俺だけの女だから、
お前だけは本気だから、
他のホストのとこ行くなよ。」

「わかってるよお〜
ゆいも陽空だけだよっ」








思わず目を反らす。
見なきゃよかった。

顔がくっつきそうな距離で
話す二人。

最後に男が女にキスをして
女はネオン街に消えて行った。






……空。





私の知らない空。


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