暇を持て余した諸々のあそび
9着流し武器屋の場合
ヒツギ:
「よう隊長、今日誕生日なんだってな」
ジン:
「あ?」
ヒツギ:
「びくっ」
レイン:
「ああ、お気になさらず…八割方アルファさんのせいですから」
ヒツギ:
「おまえらほんと、ガキの兄弟みたいな喧嘩するよなぁ。見てて微笑ましいっつーか」
ジン:
「俺としては早いところあの副隊長(馬鹿)を完全屈服させなければならないと思っているところだ」
ヒツギ:
「おお、こわっ。これだからどえすな隊長は。誕生日くらいその眉間の皺とったらどうだィ」
ジン:
「余計なお世話だ。こんなところで油を売っている暇があるんだったらさっさと仕事に戻るといい、今月の家賃まだだぞ」
ヒツギ:
「そこはまあ、出世払いってことで」
ジン:
「出世払いをするつもりならまずその着物からなんとかするといい。西洋でそんな薄っぺらな着物を着て足丸出しで往来を歩くなんて非常識、ついでに変態行為だ」
ヒツギ:
「これは俺のこだわりだィ!海を渡っても東洋の騎士は動じないっていう心構えのためのな!だから上からどんだけどやされたって俺はこいつ以外着ねぇぜ!」
ジン:
「その心構えをもう少し仕事に向けてほしいものだ」
ヒツギ:
「ちっ、愛想のねぇガキだなまったく。まぁいいや、たまには隊長のためにと思って作ったが、おまえにゃ必要なかったかもしんねえな!」ヒュッ
ジン:
「おっ」ナイスキャッチ
ヒツギ:
「いつなんどき悪漢に襲われてもいいように、その袖んなかに仕舞っときなぁ」
ジン:
「護身用の手刀か。いい造りだな、見た目によらず重いし、固くて丈夫そうだ」
レイン:
「『Ivans 』の刻印まであります。かなり凝ったデザインですね」
ヒツギ:
「俺が本気になりゃーこれぐらい朝飯前よぉ」
ジン:
「武器屋なんぞよりデザイナーになることを勧めたいくらいだ、きっと儲かるぞ」
ヒツギ:
「サムライたるものそう簡単に儲け話にのっちゃぁいけねーのよ」
ジン:
「ふん。それでは、こいつはありがたく頂戴しよう」
ヒツギ:「おう!大事に使えよっ!」