暇を持て余した諸々のあそび
2ヤンデレ魔法使いと嘘吐き吸血鬼

シグマ:
「おれの恋人がこんなにかわいい」

ミクル:
「藪から棒とはこういうことを言ってだな」

シグマ:
「だって見てよこの顔、いつものツンツンしてちょっととっつきにくい感じも好きだけどこういう少女のような乙女のような襲いたくなるようなミクルの顔もいいよね」

ミクル:
「わたしがいつそんな腑向けた顔をしたってお前こらぁぁぁ!そんな写真いつの間にににっ!!」

シグマ:
「え?寝てる時だけど?」

ミクル:
「なにか?みたいな顔をするな!そしてそのパンドラの箱を今すぐわたしに返すがいい!」

シグマ:
「心配しなくてもミクルはいつだって可愛いよ。そういうツンデレなところとか仕事をしてる時のキリッとした顔とかおれの首に噛みついた時のちょっとセクシーな顔とかあと」

ミクル:
「めくるめく忌々しい強制同棲生活を並べたてるんじゃないっ、とにかくそれを渡してもらおう、即焼却処分だっ」

シグマ:
「えー、嫌だと言ったら?」

ミクル:
「お前の血をすべて保存用のストック瓶に詰めてやる」

シグマ:
「嬉しいな、俺は死んでも君の血となり肉となるのか」

ミクル:
「想像すると気色が悪いっ!ともかくほれ、その念写写真を渡してもらおう」ひらひら

シグマ:
「おれ以外の誰にも見せないって約束する?」

ミクル:
「自分で見る気もないし今すぐ焼却処分だって言っただろう」

シグマ:
「ええー、だぁめ。だってミクルの可愛い寝顔だよ?火に食わせることすら惜しい」

ミクル:
「そんなものいつだって見られるだろう。一緒に住んでいるのだから」

シグマ:
「いいじゃない、それこそこの写真だっておれ以外の誰が見るわけでもないんだから」

ミクル:
「形に残されていることが気に入らない。そうやって物を残して過去を懐かしんでも時間が返ってくるわけではないんだ、そんなの今のわたしに邪魔じゃないか」

シグマ:
「さすが作家のミクル先生、言ってることがとても美しいよ。なるほどだから君は昔書いたものを絶対に読み返したりしないんだね、作家としてはとても稀有で貴重な性分だと思うよ」

ミクル:
「そもそもわたしの主義に反する仕事だからな、作家なんて…」

シグマ:
「つまりあれだね、今を楽しく生きようということだね」

ミクル:
「そうざっくり纏められるのも頭にくる」

シグマ:
「しかたないなあ、それじゃあこの絵画よりも美しく絶景スポットよりも目覚ましいミクルの寝顔写真はひとまずないないすることにしよう」シュボッ

ミクル:
「あっ」

シグマ:
「ところでおれのこんなに可愛い恋人は現在主義のもと今目の前にいる愛しい恋人に精いっぱい愛を与えてくれるんだろうね」

ミクル:
「ひっ」

シグマ:
「大丈夫、もう日が沈んでしまったから吸血鬼の君は今の時間帯元気いっぱいだよね?」

ミクル:
「いやいやいや、これから仕事、締切までに上げなきゃいけないからっ」(後ずさり)

シグマ:
「そんなのおれが後で手伝ってあげるよ、もし上げられなかったらおれがこれまでに書き連ねてきた君との大恋愛物語を代筆出版すればいいよ」

ミクル:
「恋愛小説は専門外だっ!というか、お前そんなもの書いていたのか!今すぐ暖炉に放り投げろっ!!」

シグマ:
「大丈夫、ミクルのためならゴーストライターなんて喜んで引き受けるよ」

ミクル:
「わたしの名前にそんな汚名着せてたまるかっ、というか離れろ!わたしの半径10メートル以内に近づくな!」

シグマ:
「半径ってことは後ろからがばっといけば問題ないね」

ミクル:
「問題あるわっ!」

シグマ:
「食事の時間だよミクル」

ミクル:
「夕飯はいいっ、食べてきたからっ!!」

シグマ:
「言うこときかない子はダメな子だねえ、よししょうがない俺が一晩じっくりお仕置きしてあげよう」

ミクル:
「ノーサンキューだぁぁぁ!!」


※このあと両名美味しくいただかれました
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