秘め恋*story1~温泉宿で…~
私もギャル達くらい若かったら、もっと酒井くんにガツガツアプローチしてたかもなぁ。
どう考えても、酒井くん20代前半だよ?
30代お疲れ女子より、ぷりぷり新鮮20代女子がいいでしょ。
てか、今の私が女子と名乗っていいのかすら、悩みどころだよ。
恋愛かぁ。
結婚の前に恋愛すらできない私ってどうよ。
仕事が恋人かって感じだしなぁ。
恋、
出来るもんなら、したいよ。
「あ、」
「あ、お客様…」
気配を感じて月から視線を下ろすと、そこには私服姿の酒井くん。
「お仕事はもう終わり?」
「あ、はい。」
「足湯?」
「あ、はい。
毎晩仕事終わりに入ってるので…」
「そう、良かったらお隣どうですか?」
私が自分の隣をポンポンし、ニコッと笑うと
酒井さんもニコッと笑って“はいっ”とズボンの裾を捲って隣で足湯に浸かった。
なんだろう。この母性本能くすぐる感じは。
「酒井さんは…」
「あの、」
「ん?」
「さん付けは止めてください。
私の方が年下ですし。」
申し訳なさそうに私を見つめる目にキュン。
子犬か、この子は。
「ごめん。じゃあ、酒井くん。」
くん付けで呼び直す。
ごめん、心の中では最初からくん付けだったんだ~。
「酒井くん、いくつ?」
「24です。」
おっつ、やはり若い。思ってたよりも年下っ。
「お客様…」
「あら?
レディに年齢を聞くなんてタブーよ?」
そう言ってウインクして見せると、酒井くんは慌てて謝った。
この子天然?
「ふふ、今度から気を付けなきゃね。
あと、お客様って呼ぶのやめない?
葉月でいいわ。」
「はい、え、でも…」
「その方が楽でいいから。ね?」
「はいっ。葉月さん。」
うっ。。
なんつー笑顔だ。
久々のキュン攻めに私、死にそう。
そして、それから2人並んで足湯を楽しんだ。