足跡の、その先に。
第一話
夏生side


夏が過ぎ、少し肌寒くなってきた秋。


「俺、夏生のこと、好き」


あたし、蒼井夏生は、人生初めての告白をされました。


――――櫻田日奈多に。


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日奈多は、小学校からの付き合いで、ほかの友達よりも遥かに仲が良かった。


あたしが笑うものは、日奈多も一緒になって笑ってくれた。


あたしが感動したものは、日奈多も一緒になって感動してくれた。


そしていつしか―――好きになってた。


好きっていう感情を理解してるかというと、そんなに理解はしていない。


だけど、この胸のドキドキは、「好き」の2文字以外じゃ表せないと思った。


「夏生ー!借りてたペン!」


「あー、投げて!」


あたしが自分の気持ちに気づいてからも、日奈多とはずっと「友達」として接してきた。


それでいいって、思ってたんだ。


だって、あたしは―――――癌だから。


病を持った彼女なんて重たすぎる。


そうでしょ?


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