足跡の、その先に。
夏生のことを好きだと気付いたのは。
俺は,胡桃と別れた。
夏生のことを好きなのに,胡桃と付き合っているのは,胡桃に申し訳なかったから。
でも,夏生の家にお菓子を食べに行ったとき。
「あーあ,あのカップルはいつまでも暑いわー」
香奈がそういった瞬間,俺は自分の体が固まるのが分かった。
「え…?」
「あれ?知らなかったの?あの二人付き合ってるんだよ」
「へえ…」
俺はその日から,夏生を諦めようと努力した。
だけど,夏生のことが諦められなかった。