足跡の、その先に。



夏生のことを好きだと気付いたのは。




俺は,胡桃と別れた。


夏生のことを好きなのに,胡桃と付き合っているのは,胡桃に申し訳なかったから。


でも,夏生の家にお菓子を食べに行ったとき。


「あーあ,あのカップルはいつまでも暑いわー」


香奈がそういった瞬間,俺は自分の体が固まるのが分かった。


「え…?」


「あれ?知らなかったの?あの二人付き合ってるんだよ」


「へえ…」





俺はその日から,夏生を諦めようと努力した。


だけど,夏生のことが諦められなかった。


< 106 / 165 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop