足跡の、その先に。
「じゃあ、これは?」
俺は翡翠の手首をぐっとつかんで、リストバンドを外す。
「っ、いつから気づいてたんや」
「お前に付き合って、しばらくしてだ」
「なんで、気づいた?」
そこには――――傷一つない手首があった。
「翡翠が包帯を巻いてきたとき」
「え…っ」
そう。
毎日昼に来るときに、一回だけ、翡翠は手首に包帯を巻いてきた。
「翡翠は人に干渉されるのが大嫌いなはず。なのに、わざとらしく包帯を巻いてきたから、おかしいと思ったんだ」
「そっかあ…」