足跡の、その先に。



「あ、あのね」


今まで熱心に人形を作っていた夏生が、口を開く。


「これ、日奈多に作ったの。あげる」


「あ、サンキュ」


俺は、夏生に渡されたくまの人形を受け取る。


くまの手には、日奈多の「H」と夏生の「N」が刺繍されていた。


「大切にするよ」


「っ、うんっ!」


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