足跡の、その先に。



「日奈多…」


夏生が俺の方を向いてしゃべり始めた。


「あたし、さ、昨日とか、入院してからも、楽しいこと、ばっかだった。

みんなで、笑って、笑って、ほん、とに、楽しかった。

でも、楽しかっ、た、のは、日奈多の、おかげ、だよ」


夏生の目から一筋の涙が流れる。


「日奈多が、そばに、いてくれた、から、あたしは、幸せだった」


「そんなこというなよ…っ」


まるで遺言じゃないか。


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