足跡の、その先に。



ピンクのスミレのピアスは、もらってからずっとつけている。


でも、それを付ける度、思い出されるのは日奈多の悲しい顔。


『…ごめん。翡翠は大切だから』


「っ」


大切、かあ。


あたしも大切な存在になれたらよかったのにな。


「夏生?」


「え?あ、何?」


「や、もう学校着いたぞ?」


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