黒豹〜Black Panther〜
辺りを見回せば、私と目の前の男の人を囲んで人盛りが出来ていて……みんなの顔は青ざめていた。
なんで……だろ?
人盛りの中には両手にパンをいっぱい抱えている藍がいた。
あぁ、今日も大量だね……。
「……何か言うことねぇのかよ、痴女」
「……ご、ごめんなさいっ!!」
言うまでもなく……私の顔は耳や首まで真っ赤になっていたと思う。
「まぁまぁ、焔(エン)。許してあげなよ~。股間にダイブされた事くらい。僕なら、気にしないけどな~」
「あ?うっせぇよ、祥(ショウ)」
私が股間にダイブしてしまった目の前の大きな男の人の後ろからそんなに背は高くない可愛い顔の男の子が現れて私の目の前に来て天使のような笑みを浮かべる。
「1年の真城 瑚琴(マシロ ココ)ちゃんだよね?」
「……えっ……あ、はい?」
初めて会ったのに……なんで、私の名前知ってるの?
「疑問形って。なんで知ってるの?って思ったでしょ?それはね、可愛い女の子の名前はぜーんぶ、調べてるからだよ」
「……っ!?」
天使のような笑みを浮かべる男の子は、女好き発言をしてウインクしたあと……私の手を掴み、私の手の甲にリップ音を響かせてキスをしてきた。