ほころぶ桜の花
『黙ってよ』


そう言って睨んでくる彼女は、出会った日の彼女そのものだった。


必死に、外の世界を見てみたいと願った強い目だった。



彼女の強さに、外の世界を見せてあげたいって思ったんだっけ。




「君が聞いてきたから答えただけだよ」



まあ、外の世界を見せてあげたいって思ったのも事実だけど。

さっき言ったことも事実。



「ねぇ、沖田総司。こっちを向いて」



声が落ち着いた。


そっと振り返ると、瞬間、頬に痛みが走った。
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