キスに秘められた大粒の涙
「俺はあの日、鈴を公園に呼び出した
丁度6月の中旬ぐらいだったか…
俺は告白するつもりで、鈴を公園に呼んだんだ
だけど鈴は、いつになっても俺の前には現れなかった」



晃が私に告白するつもりだったんだ…

お母さんが言うには、私にも好きな人がいたって。

いつもいつも、その人の話しばかりしていたって。


確か、転校生って言ってた気がする…


小学生の頃の私の好きな人って、晃だったんだ!!!

こんな巡り合わせなんか、永遠に無いと思ってた。


赤い糸が手繰り(たぐ)寄せてくれた、運命の再会だね!!!!!!




「その頃って…
私が交通事故にあった日!?
私はその時の記憶がないけど、お母さんがそう話してたよ」



私も浮かれすぎていたのかもしれない…

命だけでも助かって幸運だったよ。

3日間昏睡状態で、目が覚めなかったみたいだし…

目を開けて、一番最初に見た光が
病室の電気だった。

その次に、窓から溢れ出す太陽に暖かな温もりを背負って、舞い降りてくる天使みたいな黄色い透明感艶出しの光。



「あぁ、その通り」



「でもそれは晃のせいなんかじゃない
相手の前方不注意が原因なんだよ?」



私が青信号で渡ろうとした時に、赤信号を突っぱした車が私に接触。

私の周りにいた人達が言うには…
私はちゃんと手を挙げて渡っていた、尚且ヘルメットも被っていた。

だから、一方的に相手が原因だって…


相手だけが一番悪いんじゃないと私は思ってる。

だって、青信号になって直ぐに渡るんじゃなくて…
渡る前に今一度安全確認をしなかった私もバカだったから。

その事故を事前に防げたかもしれない。



「でもさ、俺が鈴を公園に呼ばなかったら…
鈴は記憶を失うことなんて一つもなかった
幼い頃の俺達の思い出、何も覚えてないんだろ?」



「うん…ごめん
思い出そうとすると、頭が痛くなるの」



思い出そうって、何度も試みた。

何一つ思い出せなくて、呆気なく断念した私。



「鈴が謝ることじゃねぇ、悪いのは俺なんだ
本当に鈴には申し訳ないことをした
すまない
それに記憶を無理に思い出さなくていい」



「もう謝らないで!!」
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