キスに秘められた大粒の涙
「俺が記憶を失ったら、俺達はどうなるんだろうな…」


晃が記憶を失ったら、私達は一生結ばれないのだろうか。

突如言われた言葉に、私は悲しい気持ちに浸った。


もう二度と、今まで通りの関係に戻れなくなるなんて嫌だ。


私が記憶を失って、その後を追うように晃も記憶を失う。


長年思い描いていたあの頃。

そして、楽しかった晃と過ごした日々。


一瞬で、あっという間に奪い去られてしまうんだ………。




「未来なんて誰にも分からないよ」



「それもそうだな」



「うん」



「鈴はもう、泣き止んだ?」



「赤ちゃんみたいに言わないでよー」



「だって可愛いじゃん!!」



「誰が可愛いって!?」
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