キスに秘められた大粒の涙
教室の前に着き、先生の授業している声が聞こえる。

その声はハキハキとしていて、教室の外にも漏れるくらい立派な声量だった。


なぜかしら分からないが、晃が教室の中に入らないで、腕組みをして私を睨み付けている。


どうしたんだろう…。


「晃、どうしたの?」


「おい、しゃがめ!!
しゃがんでこっち来い」


「あ、うん…」


私は体を屈めて、そのまま教室の廊下を忍者の手法みたいに
忍び足がてら晃の元へと進む。


「で、何してるの?」


「は?あーうん」


「え、何?」


「女子避けの為にさ、一緒に手繋いで入ってくれない??」


「嫌に決まってんじゃん!!!
女子達に何されるか分からないし…」


「そうなったら、俺が鈴を守ってやる!だから頼むよ
鈴と一緒にいたいんだよ!!」


「分かったから!ね?」



晃は頷くと、直ぐ様私の手を握った。
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