キスに秘められた大粒の涙
晃と屋上を出て、私達は靴箱に向かう。

それと同時にチャイムが鳴り、まだ教室に戻れていない生徒が疾風の如く、私達の前を走り抜けて行った。


「すごい険相な顔してたな」


「確かに!!でも私もあんな感じにお昼休みを過ごしてたよ」


「また、椎名に怒られてたんだ?」


「え、何で椎名先生を呼び捨てにしてるの?」


「あれ、俺の兄貴」


「え!はぁー、嘘でしょ!?」


「そんなに似てない?」


「似てないというか、モテ度が違うというか…」


「へぇ~そんな風に思ってたんだ
椎名先生のこと」


「はい??」


「さっきの嘘だよ~」


「何嘘ついてんの!!」


「ごめん」


「お願いだから嘘だけは絶対につかないで!!!」


「分かった」




私が嘘をつかれるのが嫌いな事を、晃は知っているはずなのに
どうしてそうやって嘘をつくのかな…



隠しても隠し通せない嘘だってあるし、必ずいつかはバレてしまうのに。
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