キスに秘められた大粒の涙
「何か被っちゃったな」


「そんなこと気にしないよ」


「感謝しなきゃいけないのに、俺はまだまだ感謝したりない…」


「私もだよ!!
いつも感謝しているのに、思ってる事と真逆な事を言ってしまう」


「それはたただんに恥ずかしいからだよ」


「晃も恥ずかしいの?」


「俺は鈴と違って感謝することがたくさんあるんだよ」


「そうなんだ、へぇー」


「うっ、あ、はぁ…」



晃が頭を抱えて急に踞り出した。

ひどい頭痛に襲われている晃を見るのは初めてだ。



「晃どうしたの?」


「頭が痛い
でも大丈夫だから」


「晃…」


すごく辛そうな晃を見ると、あの時言っていた晃の言葉を思い出した。

もしかして、もう一人の晃が現れたの?


まさか、違うよね。
だって私達の時間はまだ始まったばかりだよ。
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