キスに秘められた大粒の涙
「店員さん、話合わせるのうまいっすね!!」


「僕は何もしてませんよ」


「ハハハ!そーなんすか」


「彼女さん、綺麗で羨ましいです!!」


「え、彼女!?
そんな奴どこにいるんですか?」


「またまた冗談止めたらどうですか?」


「店員さんこそ冗談止めてくださいよ!ハハハ」


「晃、いい加減にしなよ
店員さん困ってるじゃん!!!」


「誰だてめぇ?
知らない女が口出しすんな」


「晃…」


「何で俺の名前知ってんだよ?」


「いや、それは…
私達が同級生で友達だから」


「ふ~ん、そうなんだ
まぁいいや
アイス買って帰ろー」




晃?もう一人の晃が私にそう言って、アイスコーナに向かって行った。



今私は不思議な気分。



あんなに晃が変わってしまうんだ。


全然知らない晃。


私のことさえ、理解できないもう一人の晃。




ず~っと長い時間こんな生活が続くと
私はもう耐えきれない。



億劫になって、きっと逃げ出してしまう。




それ以前に
もう晃を好きになっていないかもしれない。



これは遠距離恋愛並みに辛い事だと
改めて実感した。


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