キスに秘められた大粒の涙
「何でそんなにこだわるの?
私達が別れないと、晃は記憶を失っちゃうんだよ?
私達の思い出を無くさないで欲しいの」


「別れなくたって、俺には時間が残されていないんだ
いずれ記憶を失う」


「そんな事本当かどうかも分からないじゃん!!
もし、その契約?が嘘だったら?」


「嘘じゃないから…」


下を俯く晃を見たら、これは嘘なんかじゃない。
本当なんだ!とおもい知らされた。


「ごめん、晃」


「俺、一人になりたいから先に帰っててくれ」


「うん、分かったよ」




もしこの時私が、晃の傍にいたら
あんな悲劇は起こらなかった___



もう一人の晃が引き起こす災難。



もう引き返せない。

これは誰にも止められない。


この迷路からは抜け出せない。




私はそんな険しい道に入り込んでしまったんだ。



待っていれば、いずれ助けはくるのかな…


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