キスに秘められた大粒の涙
少し期待しながらも、晃の病室に駆け寄る。

そこには、目を覚ました晃がいた。


「晃、鈴だよ!
水川鈴だよ!分かる?」


「誰ですか?」


「え…」


「ちょっとそこをよけて」



そう看護師さんに言われて、我に返った。


「わぁ、すいません…」


「風間さん分かりますか?」


「これ、何本に見えます?」


「3本」


「じゃあこれは?」


「7本」


「彼女の名前分かりますか?」


そう私の方を見ながら先生が言うと、私は晃の前に立った。


「分かりません」
< 217 / 247 >

この作品をシェア

pagetop