キスに秘められた大粒の涙
桜道の前に到着した私達は唖然した。


「やっぱり桜咲いてない」


「それ当然だろ
だって、天使が準備中だとかで」


「そうだよね」


「なぁ、手繋いであそこまで行くんだよな?」


「うん、そうだよ!!」


「なら行ってみない?
あっちまで」


「じゃあ行ってみよ」


私はおどおどしながらも、桜道を晃と手を繋いで渡った。


途中、足がガタガタ震えて
橋から落ちそうになったけど、晃が必ずフォローしてくれる。


そして、まだ咲いてない大きな桜の木の下に着くと
晃がぼそっと呟いた。


「鈴、好きだ」



そう言って私にキスを落とした。
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