キスに秘められた大粒の涙
「それは私が好きだから?」


「何でそうなんの?」


「だって、さっき私に好きって言ってたし…」


「取り合えず座ろっか」


「あ、うん」



それから私は、リビングの椅子に深く腰掛けた。


「まぁ、正解を言うと
鈴が言ってることは、正確で正しいよ」


「じゃあ、嘘の意味を教えて」


「それは、俺が自分の本当の気持ちに嘘をついているから」


「その気持ちって私に対する気持ち?」



「お前が聞いてどうすんだよ!!!
何か変わんのか?
俺は、新しい高校で彼女作る訳
だからその邪魔だけはするな」



私はいつも邪魔者扱いなんだね…
誰に対しても邪魔な存在だけなんだ………



「晃の好きなようにすればいいと思うよ
邪魔するつもりなんて、一ミリたりともないから
早とちりするのだけは止めてくれる?
身じかにある身の危険知らないから、そんなことが言えるんだよ…」



ついつい突き走ったら、口から溢れる言葉が止まらない。

どうしても言った後の後悔だけは、したくなかったのに…


「そうだな
だけど誤解だけは絶対招きたくなかった
お腹空いただろ?
今スプーン持ってくるから待ってろよ」


「ありがとう」



どうして晃は、そんなに優しいの…?

どうして晃は、私の言った事に対して反論しないの…?


どうして、何でなの。


私、そんな風に優しくされると
涙が出ちゃうよ。


でも、泣いちゃいけないのを分かっているから、唇をそっと噛み締め我慢する。



晃に私が我慢してるのを、見られないように………。

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