キスに秘められた大粒の涙
「ほらよ」


少し弱々しい声でそう言った晃から、スプーンを静かに受け取った。


「ありがとう」


「お腹空いたな
食べようか」


「うん!」


「「いただきます!!!」」


スプーンを手に持って、ふわとろの半熟玉子を崩して食べる。

口の中に入れた瞬間、直ぐ様半熟玉子とチーズがとろけて無くなった。


ふわふわしていて美味しい。

トマトの酸味と、トマトケチャップの酸味がぶつかり合って、いかにも競争してるみたい。

それを包み込むように、とろけるチーズがいい役割を果たしてるんだよなぁー。



「鈴、味はどう?」


「すごく美味しいよ
朝にしては、ちょっと重たいかなぁ って思ったけど、全然気にしないで進んで食べれちゃう」


「本当か、それは良かった」


「あのさ、晃
学校行く時どうする?」


「どうするって何をどうするんだ?」


「いや、学校行く時、時間ずらして行くのかなぁーって

だってさ、誰かに同じマンションから出てくる所を目撃されるかもしれないんだよ?」


「たまたま俺は、同じマンションに住んでいた
それだけのことさ!
特別にああだこうだって、悩む理由なんてない」


そう言ってもらえて嬉しい。


「そうだけどさぁ
でも私、晃とは友達でも何でもないし…
一緒に学校行くのは不自然だし…」


「しょうがねぇなぁ
今日から俺の友達、第一号にしてやる

存分に喜べよな」



わ、私が晃の友達第一号!!??


私、何事も一番になれなかったから…


勉強でもそうだし、恋愛でも色々とね…


でもそんな私が、晃の友達の一番になれたんだよ!!


だけど、これは仮………
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