キスに秘められた大粒の涙
「だって…
だって私、晃のことを好きになってしまったから
さっきは話を逸らして言えなかった
本当にごめん」


次第に頬を伝って流れる涙に身を任せながら、大きく息を吸って
涙声混じりでそう話した。


「俺、言ったよな?
俺のことを好きになったら俺はいなくなるって」


「好きにならないように、頑張ろうって心に決めた
だけど辛いよ
私には、荷が重すぎるよ
こんなにも晃を思う気持ちが強くなるほど、もう後戻りは出来ない」


「ごめん…
俺は鈴に心配をかけさせたくなくて、つい咄嗟に嘘を付いてた
それが鈴を一番苦しめてたんだな…
本当にごめん…」


晃の目からも頬を伝って、涙が滴り落ちていく。

その晃の涙が、キラキラ光った時…
これは目薬で泣いた訳でもない。
嘘泣きでもない。


本当の涙だって実感した。


でも、何で晃が泣くの?


私、晃の泣き顔なんて初めて見る。



昨日会った晃は、笑顔に満ち溢れていて
まるで天使のようだった。



そんな晃が涙を流すなんて、いっぺんを封じて、どこかに閉じ込められた気持ちだよ………。
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