キスに秘められた大粒の涙
私が、何も行動に移さなかったからなのだろうか…?

晃が、少しむす~とした表情を浮かべながら、犬や猫が飼い主におねだりするような眼差しを、瞬きしながら私に向けてくる。


「あ、晃…」


「何?
キスするから目瞑ってって?」


「時間やばい」


「ん?時間?」


私がふと時計に目線が合った時、時刻はすでに七時半を過ぎていた。


私達は、時間を気にせず
熱々な行為をしていたみたい。


「もう七時半過ぎてる」


「げっ、やべーよ
登校初日から遅刻かよ
もっと早く言えよな!!」


晃の機嫌がもっと不機嫌になった。

どうしたら機嫌がよくなるの…?


「バカ」


そう呟いた晃は、私のおでこにでこぴんして、思いっきり立ち上がる。


「バカじゃないもん!!」


「鈴、俺を待たなくていい
先に行け
遅刻だけはするなよ!」


「晃こそ」


「じゃ、再会は学校で」


「うん」


晃は、手を高くあげ
ひきつった顔つきで私の前から去っていった。



再会って…

まるで運命の再会みたいないい方だね!!



晃、一緒に頑張ろうね。
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