キスに秘められた大粒の涙
「言うの忘れてました
俺、彼女はいないんですけど
好きな人ならいます!!」


晃がチラッと私の方を見て、一瞬目があったような気がする…


「その好きな人って可愛いですか?」


「今、どこにいますか?」


飛び重なる質問には、私は肩を落とした。


「おいおい、そのくらいにすれよ
風間が困ってるだろ」


見かねた先生がボソッと生徒に呟く。


「可愛いよ
俺の一途な思いなんだけどな」


"一途な思い"


晃は、名さえ明かさなかったものの
その人が私じゃないかという
思いにいれ浸った。



「風間ー
最後に自己紹介してくれ!!」


「ほぉーい
黒板に名前書いた方がいいっすか?」


「出来れば頼む」


先生は腕組みをしながら、晃の方をしきりに眺めてる。


きっと考えているんだろう。
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