愛してる。とか言わないで
莉子の顔から笑顔がどんどん減っていく意味が俺にはわからなかった。



「愛してる…?」



莉子はもうその質問を俺にすることはなかった。



どうすればいいのか考えたあげく、やっぱり映画に誘うという結論に行き着いた。


この結論がもっと違っていれば、俺達の未来も違っていただろうか…?



莉子の心を掴みたくて、莉子の笑顔が見たくて…



ただそれだけだった。



でも、俺はたぶん全てを甘く考えていたのだろう。



「何が観たい?」



映画館は久しぶりで俺は一人ウキウキしていた。



返事が返って来ない。



「莉子…?」



莉子の顔を見た。



「友也が観たいのでいいよ」



莉子の返事に少しがっかりした。



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