愛してる。とか言わないで
吸い込まれそうなほどの青空。


窓からぼんやり下を眺めていると、見慣れた…でも少し懐かしい笑顔が視界に入ってきた。



胸がしめつけられる…



だってそれはもう、俺に向けられたものではないから。


その時、離れた隣に誰かが来た。



漂ってくる香水の匂いに、俺はパッと顔を向けた。



…違うか



莉子がつけていた…俺にとっては莉子の匂いがしたから。



香りと共に記憶が蘇ってくる。


切ない…とはこういう気持ちなのだろう。



離れた隣に立っている女の子がこっちをゆっくり向いた。



「あ…友也先輩…」



表情や声のトーンから少し落ち着いているというか冷めているというか…



そんな印象を受けた。



「もしかして…莉子のこと見てたりして…?」


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