愛してる。とか言わないで
「でも、莉子の話聞いてると、まるで友也先輩に付き合ってもらってる…って感じで。莉子は、結局ずっと片思いしてたのかな…なんて思ったけど」



少し俺の方へ歩み寄りながら彼女は言った。



「意外と本気で好きだったんですね…」



莉子に目を向けた彼女の視線を辿るように莉子を見た。



「好きだったよ…。好きっていうかむしろ…愛してた」



愛してた…



「それ、今からでも伝えれば、戻って来るかもしれませんよ?」



彼女は莉子を見たまま、俺に少しイタズラっぽく言った。



その言葉に、俺は少し本気で返した。



「莉子の笑顔が好きだったのに、俺は莉子から笑顔を奪うばっかりで…泣かせてばっかりだったから」


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