愛してる。とか言わないで
「なんか用?」



泰輔は私に近づきながら、


「心配だったから」



そう言った。



「心配って何の?」



目を合わせない私に泰輔は目の前まで来ると、少し屈んで顔を覗き込んだ。


「夜道は危ないだろ?」



そこまで心配して頂かなくても帰れるし。


「うん、大丈夫だから。戻って。あなたに関係ないでしょ?」


この人はまた人の目を見て…


「那美ちゃん…」


私の名前を呼ぶ。

普通これだけ感じ悪くされたら引くでしょ。

どれだけ心広いの?
鈍感なの?


「戻って欲しくないって顔で、戻れなんて言うなよ」

優しい声とは裏腹にグッと泰輔が私を抱き寄せた。



もう…ヤバい…

好きになっちゃう。


涙がこぼれた。



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