愛してる。とか言わないで
「莉子、見て。これ…」


雪の結晶柄の箱を差し出した。


「あ、これって冬限定のチョコレート!」



莉子の嬉しそうな顔。

いい顔だわ。



「那美にも分けてやれよ。一人で食ったら太るぞ」



楓は、意地悪を言いながらも、もう愛が溢れんばかりの優しい瞳で莉子を見てる。


「はーい」



すでに箱を開けながら莉子が返事した。


「じゃあ、また放課後な」


そう言うと、楓は自分のクラスへと帰って行った。



「那美、おいしいよ!このチョコ」



莉子ってこんな顔で笑ってたっけ…



こんな幸せそうな顔で。



「莉子…太るよ?ちょーだい」



意地悪い顔をしながら手を出した。



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