愛してる。とか言わないで
「もう、那美まで…」

頬っぺたを膨らませて、チョコレートを渡す莉子を笑いながら見ていた。


莉子はもっと尖っていたように思う。

友也先輩に関わることで、たくさんの女子を敵に回してたから…


それでも、自分の『好き』を信じて迷いなく突き進んでいた。


その頃は、気の強そうなそれでいて自分をしっかり持ってそうな…

そんな印象だった。


「莉子、楓と付き合い出して表情が柔らかくなったね」



莉子は不思議そうな顔で、


「そう?」



と首をかしげた。



「うん。幸せボケした顔になった」



私のひと言で莉子の顔はまたプクっとふくれた。



「いいことじゃん、褒め言葉だよ」


笑うと文句言いたそうな目で私を見てくる。


そんな莉子に、

「ねぇ、楓ってHの時どうなの?」


と聞いたら一気に顔が真っ赤になった。



この、のほほんカップルでもそういうことやってんだよねぇ。


想像できないわ。

しちゃいけないけど…


「何…急に」



莉子は赤い顔のままチョコを食べてる。



「莉子、顔赤いー」



私がからかうと莉子の顔はもっと赤くなった。



「もう!那美!」



真っ赤な顔で怒る莉子は、すごく可愛くて女の子としてすごく魅力的に感じた。


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