愛してる。とか言わないで
「思い出って…なんで?」


泰輔の顔が凍りつく。



「私は、私だけを愛してくれる人と付き合いたいの…」



泰輔の顔が歪む。



「春になれば彼女戻ってくるじゃん…寂しいのもそれまでの我慢だよ」



なんで私がなぐさめなきゃならないの?



「でも…だからって急過ぎるよ」



もう…この人は。



本当に歳上なの?



こんなんで社会人になれるわけ?



「これ、ちょっと早いけど。社会人になったら使って…」



私は買っておいたネクタイを渡した。



「じゃあね」



泰輔のあんな顔…



見てられないから。


あんな顔を私がさせていると思うと、罪悪感で泰輔の元へ駆け寄ってしまいそうだから。

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