愛してる。とか言わないで
涙に流されるかのように、自分の心がどんどん崩れて…


崩れ落ちて残ったのは…



こんなにも泰輔のことが好きな自分だった。



「泰輔…泰輔…」



泰輔が当たり前のようにくれていた愛情を、今、痛いほど感じた。



彼女と別れられない泰輔だけど…



あの優しさも、笑顔も、ぬくもりも…



全部、私にくれたものだった。


私のためにしてくれたものだったのに…



もっと素直になれていたら、何か変わっていたのかな。



傷つくのが怖くて、私は泰輔への気持ちを隠して、認めたくなくて、強がっていた。


いい女ぶって、ただぶつかることを恐れていただけだった。



泰輔の本音を聞くことから逃げていたんだ。



< 176 / 214 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop