愛してる。とか言わないで
楓先輩のことはもう諦めついてるっていうのに。



恋もできないなんて…



放課後、デートの予定もない私は、まっすぐ家に帰る。


そして兄の部屋のドアをノックもせず開ける。


「ねぇ…お兄ちゃん、この前買ったって言ってたDVD貸して…」


だ、誰…?

ベッドで誰か寝てる。



「誰…?王子?」



そっと近づいてみた。



寝息をたてて寝ている王子は、無防備でなんだか子どもみたい…



サラサラの髪。



男のくせにきれいな肌。



長いまつ毛。



久しぶりにこの人を近くで見たけど…



ちゃんと見たのは初めてかも。



目が合うと叫ばれるからあまり見ないようにしてたから。



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