愛してる。とか言わないで
頬っぺたが痛いし何とも言えないモヤモヤした気持ちのまま、非常階段の3階の踊り場で座っていた。

「どうした?その顔」



友也に言われて鏡を見ると、初めて自分の頬が赤くなっているのを知った。



「この顔のまま授業出ちゃってた」


私は頬を押さえた。



「手形…?」



友也はどうしてもこの頬に隠された秘密を知りたいようだった。



友也から見えないように、顔の向きを変えた。



「…体育の授業でボールが当たっただけだよ」



同じ片思いをする立場の人の気持ちはわかるから…



私にはできないよ…告げ口なんて。



「またボーッとしてたんじゃねぇの?」



友也が少し笑った。



友也の笑顔が私だけに向けられるなんて…



友也を2階の教室の窓から見てただけの時には考えられなかった。



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