愛してる。とか言わないで
友也が珍しく映画を観に行こうと言って、私達は映画館へ向かった。



「何が観たい?」



友也は私を見ずに聞いた。


友也の横顔を見ながら、私は黙り込んだ。



友也は返事をしないことに気づいて私を見た。



「莉子…?」



私は、



「友也が観たいのでいいよ」


友也を見ながら言った。



その時、携帯が鳴ったのか友也がポケットから携帯を出した。



何かためらうような迷っているような顔をしたのを私は見逃さなかった。



「友也…」



私の中でひとつの決心がついた瞬間だった。



「亜美佳さんでしょ?行きなよ…」



私の言葉に友也は驚いたような…少し傷ついたような顔をした。



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