愛してる。とか言わないで
楓は、私のすぐ隣に座り直して私の髪を優しくなでた。


そして私に優しくキスをした。



「愛してる」



楓の穏やかな声が私の中に響き渡った。



「そんな言葉…どうして楓が言っちゃうの…?」



友也に言って欲しかったこの言葉…



友也が絶対にくれなかったこの言葉…



「愛してる」



楓が私に軽くキスしてまた言った。



そんな言葉を…



「簡単に愛してる…なんて言わないでよ」



私は涙ぐんだ。



「莉子…?」



楓は優しい瞳で覗き込んだ。



愛してるなんて言われたら…


その優しい声も優しい瞳も温かい手も…



欲しくなっちゃうから…



< 77 / 214 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop