愛してる。とか言わないで
「嫌だ」



莉子は知らん顔でアイスを食べている。



「生意気な奴だな」



ジリジリと近寄って来る三人組。



「ぼ、僕のあげるからっ」


僕は恐怖のあまりアイスクリームを差し出した。



「楓、あげなくていいよ。ほっとけばいいよ」



莉子の言葉にオカッパ頭が言った。



「なんだよ、この男女〜。お前みたいなのをおなべって言うんだって」



「なべ、なべ〜」



莉子はアイスを最後まで食べて、



「うっさい!このハゲカッパ!!」



そう叫んだ。



ハゲカッパって…



僕は、どんどん溶けてくるアイスクリームを握りしめたまま莉子を見ていた。



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