夏の名前
突然言われて、僅かに戸惑いを見せた統子だったが、すぐにいつものようにふわりと笑う。
「…明日朝、同じ時間に…
会いたい…。」
気付かないうちに速斗はそう口走っていた。
「──えっ。」
「あ。 えっと。 えーっと…」
「いいですよ。」
少し頬を紅く染めて統子が言った。
「え。 じゃあ、また明日…」
「はい。」
またふわりと笑う。
2人は家の方へ歩き出した。
「白石さんは、おばあちゃんのお家に泊まってるんだよね?」
「はい。 あそこの通りを西に向かって行けば、あります。
あ、私のことは統子でいいですよ。」
「──あ。 "統子"ですか…。」
「はい。
それに、丁寧語もお互い止めません?」
「 じゃ、 あー。 っ、統子は、
昼の間はどうする予定?」
「んー 私は…特に予定は無いかな。
お母さんは地元の友達に会いに行くみたいだから、出掛けはしないよ。」
「そっか…。」
「何か…あるの?」
「いや…
あ、じゃあ、今日はここで。」
「うん。 バイバイ。
また明日ね。」
2人は早朝に出逢った所で別れた。
また会えると思うと、速斗は嬉しくて仕方がなかった。