夏の名前
7.
"04:17"
「…はぁ…」
速斗はどうしようか悩んでいた。
昨日の晩、いつもと変わらない時間に床に就いたはずであったのに、朝自然に目が覚めたのは4時の事だった。
起きて、布団を片す。
窓を開けると空気は夏にも関わらずひんやりしていた。
畳に転がり、今日は何をしようかぼんやり考える。
速斗にはずっと欲しいと思っていた物がある。
小さいラジオだ。
夏の間に手に入れておきたかった。
今日はそれを買いに自転車で街へ行こうかと考えていた。
しかし、外は未だ暗い。
いくらだらだらしてもなかなか時間が進まない。
目もすっきりと覚めている。
仕方なくいつもより早くランニングに出掛けることにした。
この時期はすぐに明るくなる。
山の斜面にある自宅から出て、坂道を下る。
眼下に町並みが広がり、朝日が見えた。
清々しい気分になって坂を下った。