夏の名前
綺麗に舗装されてない道路を歩き、速斗は自宅へ急いだ。
頭の中は母親の昼食で一杯だ。
「只今帰りました。」
「──はーい。」
台所から声がする。
「あれ、ばーちゃん?
かーさんは?」
「ああ、ネギ採りに裏行ってるよ。」
「ふーん、 あ、なんが手伝うことある?」
「んー じゃあ、これ、応接間に運んで下さる?」
ばーちゃんがちょっと気取った日本語で言った。
「はーい。ん、箸は?」
「んー、大抵出とるよー。」
「はーい。」
応接間には既に料理が並んでいて、妹と弟がテレビを見ていた。
「あ、 兄ちゃんお帰り。」
弥生と駿は夏休みの宿題を広げたまま遊んでいた様だ。
速斗は苦笑いして、片すように言った。
しばらくして、皆が帰ったので、一緒にご飯を食べた。
今日の昼御飯は味噌汁と菜っ葉と冷奴だった。
味噌汁はばーちゃん。
菜っ葉はかーさん。
速斗は2人の味が大好きだ。