天体望遠鏡の向こう
「やめろよ…。奇声を発するなよ…」
「奇声じゃねえ、気合いだ。さっきもずっと起きようとしてたんだけど、なかなか眠気に勝てなくってさー」
何気なく言った流星の言葉に、男はぞっとした。
「じゃ、じゃあお前、いつから起きてたんだ…!?」
「父ちゃんが入ってきたときからずっと。起きなきゃって思ってたんだけど、全然ベッドから出られなかった!!」
けらけらと笑う流星。
男は開いた口が塞がらなかった。
流星が起きていたことにも、それに気づかなかった自分にも、さらにそれでも自分のことを父親だと思い込んでいる流星の残念さにも。
呆れて声も出なかった。
「あっ、たーつーやー!!」