天体望遠鏡の向こう
ぼくらのぼうえん鏡。
流星群が過ぎたのか、星は舞うのをやめ自分の居場所で光を放っていた。
子供たちは、流星の天体望遠鏡を取り合うようにして天体観測をしている。
「うおおおお!おお!!あれ土星じゃね!?」
「ちがうよ、ばか!わっかがないだろっ」
「うおおおお!おお!!あれ月じゃね!?」
「月なんか肉眼でも見えるし、今日は新月なんだから見えるわけないだろ!?」
子供たちの会話がほほえましい。
男はその様子を見ながらぼうっとしていた。
子供達を呼ぶゆうきの声が耳に入る。
「みんなアイス食べるかー?」
「食う!!」
「食う!!」
「食う!!」
「食うに決まってる!!」
望遠鏡から一斉に食べ物に向かう切り替えの早さが少し笑えた。
ゆうきは四人にアイスを配ると、男に声をかけた。
「こいつらが食ってる間に、俺達は望遠鏡で空、見てません?」